
「冬至(とうじ)」は、二十四節気の22番目の節気で、2020年は12月21日から翌年の1月4日頃までです。「冬至」とは読んで字のごとく、冬の頂点に至ったという意味、冬も折り返しの時期に入ります。
冬至は太陽がもっとも高い位置にある夏至とは正反対で、太陽が最も低い位置にあります。1年でいちばん夜が長く、昼が短くなります。陰陽で言えば、陰が最も強い日=陽が最も弱くなる日ということになりますね。
翌日から陽気が回復していく=昼が長くなるので、太陽が生まれ変わる日と考えられ、中国では「一陽来復(いちようらいふく)」の日として。また、世界各国で「太陽の誕生日」として、祝う風習が見られます。
陰気が増え、身体を壊しやすい時期
「冬至」は陰気が最も強くなる日。そのため身体の中でも陰気が強く働き、冷え性が悪化したり、風邪をひきやすくなります。年末に向かって凍てつく寒さが肌を刺し、手足や顔も氷のように冷たく感じることが多いことでしょう。さらに仕事やプライベートの忙しさも重なり呼吸は浅くなり、運動不足にもなりがち。気がつくとなんだかだるい、重いと感じることにならないよう、身体を適度に動かすことを心がけてください。
とくに首や肩まわりは、一日一回は力を抜いてぐるぐるまわしてあげましょう。首まわりのこりは、全身の血行不良から起きていることが多いので、身体を動かし末端まで血流を促すだけで、こりがほぐれます。ポイントは力を抜くこと。また外出時は手袋や腹巻、マフラーなどで防寒し、身体の温度を保つこともお忘れなく。
毎日冷たい北風にさらされ、「冬」真っただ中の時期なので、寒いことばかりに気を取られがちですが、ほんの少しずつ陽気が増え「春」の気配を感じ始めます。早い方は花粉症を発症することも。マスクはもちろんですが、鼻うがいも再開してみましょう。
「冬至」の養生ポイント3つ
1、「柚子」風呂に入る
冬至に「柚子」風呂に入る…この風習は江戸時代あたりから始まったと言われています。「冬至」の日は闇が長く続くので、闇=邪気という印象から最も危険な日と認識されていたようです。
柚子(ゆず)=融通がきく、冬至=湯治(とうじ)という語呂合わせから、身体にたまった邪気を払ういわゆる厄落としで、冬至の日は銭湯に行き(=湯治)、身体の融通をきかせる(=柚子)風呂に入っていたという説があります。柚子はこの時期が旬で香りが高く、ビタミンCも豊富で血行促進やリラックス効果もあります。お風呂に柚子の香りが立ちこめれば、年の瀬のイライラも解消し、すっきりした気分で眠りにつけますよ。
2、寝る前にスマホやPCを見ないようにする
冬と関係の深い「腎」は冷えに弱く、疲れやすい状態となっています。
末端への血流が悪くなるため手足も冷たくなります。ふとんに入っても寝つきが悪くなったと感じる方も多いのではないでしょうか。
寝る前のスマホやPCを見る行動を、避けてみてください。目から入るデジタルな光や情報は、脳や目の働きを活発にするため、眠りにくくなると言われています。寝る前1時間くらいは、スマホやPCから離れ、脳や目を早めに休ませてあげましょう。眠りが深くなれば、身体の回復力もあがり、末端への血流も改善しやすくなります。
3.こまめに喉を潤す
コロナ禍のため、マスクが欠かせない生活が続いています。冬はエアコンをきかせている場所が多く、乾燥が急速に進んでいます。こんなときこそ、こまめに喉を潤すように心がけましょう。
喉を潤す=水分補給がいちばんよいのですが、たびたびマスクを外すことに抵抗があるかもしれません。そんなときはマスクの内側に水分を含ませたり、飴をなめたりしてみましょう。
ただし水分補給するときは、できるだけ温かいものを飲むようにしてください。冷えた飲みものは、身体の内側を冷やし、手や足先の血流を悪くしてしまいます。
「冬至」におすすめの食べもの
「冬至」と言えばかぼちゃを食べる、そんな風習が今でも残っています。かぼちゃは中風(脳卒中)や風邪予防のために食べるようになったと言われています。かぼちゃは長期保存できる緑黄色野菜で、冬に摂りにくいビタミンやカロチンが豊富。これを食べて風邪など病への抵抗力をつけようとした、先人の知恵ですね。
また中国では冬至に小豆粥を食べる、という風習があります。小豆は「鬼毒を殺し、痛みを止める」と中国の医学書にも書かれていて、冬至の厄払いのために食べていたようです。粥にするのは、消化しやすく、食べやすくするため。かぼちゃの煮物の中に小豆を入れれば、冬至の厄除けも完璧になりますよ。
冬至を迎え、今年もいよいよ残すところ10日あまり。新しい年はすぐそこまできています。今までは考えられない生活様式を取り入れることになった一年でしたが、その中で季節にあわせ養生しながら、心身を整える方法をお届けしてきました。
来年もココロとカラダと対話しながら、心地よく過ごす方法を見つけていきましょう。