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【連載】知っておきたい!病気のマナー 〜がんと診断されたら職場にどう報告する?〜
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がんと告知されたとき、思いを巡らせるのは治療だけでなく、これからの生活についてなどさまざまなこと。その中でもまわりの人に伝えるか、また伝える場合はどのような言い方をすればいいか迷う方がとても多いようです。がんと診断された場合に「職場」への報告はどのように考えればいいか、そして治療と仕事の両立について、専門家に聞きました。

 

がんと診断された…職場へどう報告はすればいい?

突然がんと診断された時、これからどのように過ごしていくか、仕事は続けられるか、職場への報告は誰に?どこまで?治療の内容は伝えるの?など、とても悩むところだと思います。

今回は、一般社団法人がんライフアドバイザーの代表理事である川崎由華さんに、職場への伝え方についてお聞きしました。がん患者さんとそのご家族の仕事やお金の問題を、医療者と連携し解決されている立場から、具体的なアドバイスを頂きましたのでぜひ参考になさってください。

まず治療内容を確認する

誰しもがんと診断されたら、不安になるもの。しかし、まずは気持ちを落ち着けて次のことを医師にきちんと確認しましょう。

■現在の病状

■今後の治療内容やスケジュール

■薬の副作用の有無

これらをしっかりと把握することが、職場と話し合う時に必要な情報になります。

初めて聞く言葉も多い治療の話は、記憶したつもりでも後々思い出せないことがありますので、メモの準備をお忘れなく。

患者と話す医師

多くの方が「がん」をどう伝えるか悩まれますが、病名は必ず職場に伝えなければいけないわけではありません。職場に伝えた方がいいのは、病名そのものではなく、治療や療養が必要な状況だということを具体的に説明することです。

職場に伝えておくとよい情報は

■今後の治療予定

■休職する予定期間や通院頻度

■職場で配慮してほしい具体的なこと

などです。治療や療養によって仕事を休む必要があることや、仕事への配慮を会社に理解してもらうことが、仕事を続けていくにあたり大切になってきます。

全員に報告しなくてもいい

職場に報告するタイミングを決めたら、誰に伝えるかも考えておく必要があります。

笑顔で迎える社員

国立がん研究センター がん対策情報センターから発表された患者体験調査報告書(平成30年度調査)によると、職場や仕事上の関係者にがんと診断されたことを伝えた人は81%でした。伝えた相手は、上司が81.1%、同僚が53.3%、部下が18.3%です。

がんと診断されたことを職場に伝えていない人は19%もいらっしゃいます。職場に報告しない理由としては、「周囲に心配をかけたくない」「報告・相談するまでも無い」「仕事上、偏見を持たれたくなかった」などといった声が聞かれます。

上司と話す様子

治療が進んでいく中で、これまで通り業務が行えなかったり、休職が必要になる場合もあるため、今後も相談ができる直属の上司などに伝えると良いでしょう。また仕事内容によっては、病名までは明かさなくとも同僚や取引先に向けてどのような配慮をしてほしいかを相談することもあります。

伝え方の具体例

職場での相談例をご紹介します >>>

病状:

乳がんと診断され、手術を受けることになり、医師から入院期間は1週間足らずで、すぐに職場復帰ができると説明を受けた。ただし脇の下のリンパ節も切除するため、術後に腕がリンパ浮腫を起こさないよう、重いものを持つことを避けて生活をするように言われた。

伝え方:

  • 1週間ほどの休職をさせてほしいこと。
  • 重いものを持たないように、休職明けからは荷物の積み下ろしがある業務などは控えさせてほしいこと。

この2点を職場の人に伝えてみてはいかがでしょう。職場の人は、同じ病気を同じように経験しているわけではないので、フォローしたくても分かりません。配慮してほしいことは具体的に伝えることで、職場の理解も得やすくなります。

ありがとうの文字

そして、忘れてはいけないポイントがひとつ!仕事のフォローをしてくれている人に対し、感謝の気持ちを言葉で伝えることも忘れないようにしてくださいね。

 

その退職ちょっと待って!早期復帰や治療との両立を考えましょう

とつぜんのことに「そもそも働き続けていいのだろうか」「周囲に迷惑をかけてしまう」と考えてしまうこともあるでしょう。しかしがんは今や珍しくない病気。日本人の約半数が生涯に一度がんに罹患するといわれています。さらに約3割のがん罹患者が就労世代です。

仕事する様子

治療も通院が主流となり、厚生労働省をはじめとして医療機関でも企業内でも仕事と治療の両立支援が行われつつあります。「どう働けるか」を、主治医の意見を聞きながら職場との話し合いを重ねていきましょう。

がんになったからといって早々に退職してしまうことは収入面での不安を抱え、やりがいや生きがい、また 生活の基盤を失ってしまうことになりかねません。仕事と治療のどちらにも向き合える環境づくりをめざすように心がけてみましょう。

前を向く人たち

厚生労働省では「仕事とがん治療の両立 お役立ちノート」を公開しており、仕事と治療の両立をめざすために役立つ情報がまとめられています。こちらも参考にしてみてくださいね。

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000204876.pdf

川崎由華さん

監修者:川崎由華

複数のがん診療連携拠点病院で、がん患者さんとその家族のお金や仕事の問題について医療者と連携し、相談に応じている。またその活動は講演やメディアを通じて、全国の医療従事者や市民に向けて広く発信している。一般社団法人がんライフアドバイザー協会 代表理事。保有資格はCFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、住宅ローンアドバイザー、メディカルケアワーカー®(看護助手)1級、両立支援コーディネーター

一般社団法人がんライフアドバイザー協会
https://ganlife-adviser.org/

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