~ 患者さんのためのコミュニティマガジン ~

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ライフスタイル密着取材 MAKIさん
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がん哲学外来のスタッフとして患者さんと和やかに接するMakiさん。シンポジウムでの登壇、雑誌のインタビューなど、様々な場所でがんについて情報を発信されてきました。 今回は告知を受けてから現在までの心の変化について話してくださいました。

プロフィール
Makiさん(56歳) 東京都
〔家族構成〕夫と2人暮らし
〔がんの部位〕卵巣
〔取材時の状況〕手術→抗がん剤→再発→抗がん剤→2度目の再発治療中

 

お腹がぽっこりして、はじめは中年太りかな?と…

2013年の3月頃、急に太ってきました。2人前とか普通に食べていたので、中年太りかなーと思っていたら、今度は急に食べられなくなって。痛みや出血はないんですけど、お腹がぽっこりしてきて、圧迫されているような、おへその内側から張り出してくる感じがありました。
症状をネットで検索したら卵巣嚢腫がでてきたので、自宅近くの内科と婦人科がある病院を受診し、その日のうちにMRIを撮り、卵巣嚢腫があることが分かりました。それから1週間後、病院側から「結果を聞きに来てください。いつ来られますか?」って電話がきて「あ、これ普通じゃない」と思いましたね。

卵巣がんと告知された時はやっぱり、ガーンって感じ。子供がいないから、夫を置いて逝くには早いなと思いました。身内にがん経験者が多く、発見が遅れて1年経たずに亡くなるケース見ていたので、自分も死ぬんだって思いました。がんが死なない病気だとは知らなかったんです。病名を告げられてからは怖くて、ネットで病気のことを調べられませんでした。
検査と手術を急ぎますと言われ、主人に病名を伝えました。詳しい検査の結果、手術でとるしかないと言われたのですが、その手術を待っているうちに卵巣が破けてしまったんです。普通だとがん細胞が飛び散ることがあるようで心配だったんですが、とりあえず目に見えるところは手術でとってもらいました。

患者会で話を聞き、不安なのは自分だけじゃないと思えた

退院した翌日に池袋のスヴェンソンに行きました。髪が抜けちゃう前に早めにウィッグを見に行っておこうと思って。「抗がん剤をやってるので、体調しだいで後日取りに来られるか分からない」と相談したら、その日のうちにウィッグを持ち帰らせてくれました。

5年生存率30%と言われたことのショックが大きくて、どうしたらいいか分からなくなって…精神的にきつかったです。たまたま病院の待合室にがん哲学外来のポスターが貼ってあって。人見知りだけど、夫と一緒なら行けると思い退院後に参加しました。
入りづらくて帰ろうとしたら、スタッフさんが迎え入れてくださって。他の患者さんのいろんな話を聞けたのが嬉しいというか、不安なのは自分だけじゃないと思えて安心感がありました。最初はひとことも喋れなかったんですけど、ほかの人の話を聞きたくて毎月参加するようになりました。体力も落ちているし先々の予定が真っ白ななか、1か月に1回でも人に会える機会があるのは嬉しいものです。
その後、がん哲の先生に勧められてスヴェンソン主催のシンポジウムで登壇しました。それがきっかけで資生堂ライフクオリティビューティーセンター発行の「がん患者さんのための外見ケアBOOK」でインタビューされて、さらにテレビも。もともと人前に出るのが得意じゃなかったので、テレビは最初は断ったんですけど、病気になったからこそ頼まれたのかなと思って。色んな人に助けられて、無事にやりきることができました。

気持ちは人それぞれ。ぜんぶ分かり合う必要はない

患者会に興味はあるけど行けない、って人は多いと思います。ほかの人の話を聞いて、現実にショックを受けるのが怖いということもあるんじゃないかな。元気で過ごしている患者さんもいますが、患者会で顔を合わせていた人が亡くなることもありました。知り合いが増えた分、見送った人も多くて、やはり現実を見ますね。その人たちの分もちゃんと生きなきゃと思いました。

それと、同じ病気同士でも、気持ちって人それぞれ違うので、完全に共有できるものじゃないんです。再発して思ったのは、どうしても再発した人としてない人の「壁」があること。以前、同じ病気の人に責められたことがあって、すごくびっくりしました。「家で泣いてなくていいのか」「どうして外に出るのか」と言われて。きっとご自身を守るために壁をつくったんだと思います。たぶんご自身と重ねてるんじゃないかな…。 同じ病気、同じステージ、同じ組織型でも、人それぞれ状況が違うことが最近分かりました。ぜんぶ分かり合う必要はないと思います。

いまはがん哲学外来だけ行っています。自分が求めていたものがここにある気がしていて。自分の生き方が見えてくるっていうのかな。カフェに通っているうちに、ふだんの生活を楽しく過ごせていることに気づきました。

治療でいちばん辛かったこと…

2016年9月に、肝臓と尿管を巻き込んだところに多発転移、あとはリンパ。手術対象外で抗がん剤と言われました。再発です。抗がん剤は6回入れて、全部消えてなくて一部くすぶっている感じ。そのあと分子標的薬で維持、経過を見ていましたが、2017年6月に再再発。いまはS字結腸の近くにできています。
再発したとき「自分にはこの先生しかいない」と思っていたので、主治医の先生を追いかける形で病院を変えました。いまは2時間かけてその病院へ通っています。排尿障害とかあって心が折れかけたときもあったけど、ちゃんと話を聞いてくださる先生です。病院変わっちゃって、遠くなっちゃったのに「よくついて来られたね」って言ってもらえたりして。(笑)

辛かったのは、副作用とか体調の悪さより、5年生存率30%って言われたときです。精神的に立ち直れませんでした。卵巣がんのことを調べても厳しい病気としか書いてなかったり、亡くなった人のブログにばかりぶつかったりして誰も生きていないって思ったりして。
その時期は「辛い思いをして死ぬよりは、飛び降りちゃったほうがいいんじゃないか」と思うようになって、病院の外来行ったときに飛び降りちゃおうかと考えるほどでした。
でも偶然外来で、母のように親しく思っていた人に会ったんです。その人に「すごく辛い」と話したら「治療のことは主治医に任せればいいから、病気のことを考えるのはやめなさい」と言ってくれて、それで思いとどまりました。

いつも笑顔でいなくて、いいと思う

病気をして、あらためて思うのは「ふつうに生活できるって幸せだな」ということ。季節の花を見られる…毎年それが見られるということは、毎年生きていられる喜びがあるということ。
食べたいものを美味しく食べられて、自分の足で行きたいところへ行けることがすごく幸せです。

これからは、何か頼んでくれる人がいたら、どんどん協力していきたいです。頼んでもらえるだけありがたい。病気になった意味を探している人がいっぱいいて、何かやりたくても機会に恵まれない人がいるけど、私は色々頼まれることが多くて、恵まれていると思います。
いまもがん哲学外来でスタッフやっていますが、いつも前向きでいなきゃ!と思わず、辛いときは辛いと弱音をはくスタッフでいます。「いつも笑顔でいて」って言われるけど、私だって泣くときもありますよ。治療していると精神的に大変なこと、ありますよね。でも、そういう時もあっていいんだと患者さんに思ってほしいし、それがあっていまの自分があるんだと思います。
がん哲学外来メディカルカフェや、病気になってから知り合った人たちにすごく支えられていますね。自分で立ち上がれなくて、差し出された手をすべて掴んできたから、そういった人達にどうお返しできるのか、を考えています。

取材時/2018年4月

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