~ 患者さんのためのコミュニティマガジン ~

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患者さんの心の開放区『みんなのがん哲学外来』@仙台
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「がん哲学外来」をご存知ですか?それは、患者さん、家族、そして医療者が同じ目線で生きることの意味を見つめ、話して考える時間。カルテはありません。お茶を飲みながらゆったりとした雰囲気で話す「メディカルカフェ」も各地域で広がっています。今回は宮城県仙台市で開催された際の発起人となった、地域医療を支えるお二人にお話をお聞きしました。
(2015.11取材)

【発起人】佐藤京子さん
石巻赤十字病院 総合患者支援センター がん療養支援係長
【発起人】吉田久美子さん
東北大学病院 がんセンター 先進包括的がん医療推進室

仙台がん哲学外来 メディカルカフェ発起人 YOSHIDA KUMMIKO SATO KYOKO

仙台にがん哲学外来が必要なわけ

医療従事者としてがん患者さんと長く関わってこられたお二人ですが、今回「がん哲学外来 メディカルカフェ」が仙台で初めて開催されることを、どう感じますか?

佐藤東日本大震災から月日が経ち、家族構成や住宅環境など生活が大きく変化した方が、たくさんいらっしゃいます。被災した上にがんを患った高齢者の方々も多く、話をしたり聞いたりする場を地域主体でつくっていくことが必要だと思っていました。なので、今回の開催は大変嬉しいです。

吉田:同感です。地域で支えるシステムづくりは本当に課題です。これから高齢化社会になっていくなかで、患者さんをどうやって支えていくかというのは、ずっと考えています。宮城県庁にはがん対策課があるんですけど、市区町村の行政には患者さんたちが相談できる担当部署はないんですよ。そういう意味でも内外に「地域で患者さんを支えることの必要性」を発信するために活動しています。

診療で聞きづらいことも、話せる場所を

佐藤さんがお勤めの石巻赤十字病院では、仙台に先駆けて院内でがん哲学外来を開催されています。医療従事者が患者さんの輪に入る、というのは、患者さんにとって実際どうなのでしょう?

佐藤:震災の後「今までと同じケアで本当にいいのか?」と感じている時に、がん哲学外来理事の樋野先生の講演を聴いて胸に溜まっていたモヤモヤがスーッと晴れたような気がしたんです。「患者さんに寄り添う」ということを、もう一度考えてみようと思いました。その後メディカルカフェを定期的に開くようになりました。がん哲学外来メディカルカフェでは医師との面談があります。患者さんやご家族が「お医者様と話すのは…」と尻込みしがちですが、面談終了後はみなさん納得された表情でお部屋を出てこられますね。

また「がん講和会~がんを知ろう+メディカルカフェ」を毎月1回のペースで開催しています。講話会後は担当の講師とお茶を飲みながら、困っている事や心配な事など自由に話せ、一緒に共有する時間を設けています。この会では医師や臨床心理士、薬剤師、がん認定看護師など、たくさんの医療従事者が講師を持ち回りで担当しています。

医療従事者、特に医師が参加すると違うなって思います。患者さんから「お医者さんと話せてよかった」という声を、よく耳にします。やっぱり安心されるみたいです。診療で質問しづらいこともお茶を飲みながらなら聞けるという方もおられました。

佐藤さん

「がん体験者の話を聞きたい」という声

吉田さんは宮城県の患者会ネットワークの代表をもされていますが、どのような経緯で活動をはじめられたのでしょうか?

吉田患者会をつくったキッカケは、私自身が乳がん体験者ということです。病院や行政に発信するにしても、ひとつのコミュニティだけだと力も弱いし。患者会は立ち上げた後の継続が大事ですが、治療しながらの方が多いので、運営も大変なんですよね。そういった運営支援とか、情報交換とか、もっと発信していければいいなと思って。看護師として、乳がん体験者として、宮城県の患者会ネットワークを発足させました。

佐藤:吉田さんは、患者さん同士が仲間(ピア)として体験を共有し共に考える「ピアサポーター」の支援もされているんですよね。最近、がん相談支援センターに来られた患者さんから、「看護師さんが話を聞いてくれて嬉しいんだけど、やっぱり体験者の声も聞きたい」と言われ、がんサロンを一緒に運営しているピアサポーターの方に話をして頂いた事もあります。以前、院内で開催しているメディカルカフェで乳がん体験者の方に講話して頂いた時も話が盛り上がっていました。

吉田さん

いまどんな気持ちか、患者さんの目線で考える

吉田:患者さんの中には、がんを体験して「他の人に何かしてあげたい。自分も世の中の役に立ちたい」って感じる方が多いんです。そういう人たちが“何かしたい”って思った時に、活動する場所や知識を提供できるように、ピアサポーターのフォローをしています。例えば、がん哲学外来のような場所での「お茶係」という役割もひとつの支援ではないでしょうか。

佐藤:私はがん相談支援センターで、がん患者さんへの相談支援業務を担当しています。がん治療についての不安心配事生活の様子などを伺い、不安な気持ちを受け止め、患者さんとご家族が心の整理やこれからの治療に前向きになれるようお手伝いをさせて頂いています。
以前患者さんに「相談支援センターのドア、敷居が高くて開けられないんだよね」と言われたことがありました。こちら(医療従事者)側は、気にせず入ってきて頂いて構わないと思っていても、患者さんは気後れしてしまうみたいで。それ以来、ドアを半分開けたままにしています。患者さんが顔を覗かせた時に「どうぞ」って招き入れられるように。いつの間にか医療者主体で物事を考えてたんだなぁと反省しました。

吉田:不安を抱えている患者さんだからこそ、遠慮してしまうのかもしれないですね。同じように「病院に相談室をつくったけど、患者さん来ないなぁ」って思っている病院が、もしかしたらあるかも。

座談3

「どう生きていくか」をみんなで考える

最後に。がん哲学外来を通して、地域コミュニティをどう支えていくか。ビジョンをお聞かせください。

吉田:最近は病院側の患者会などの院外活動(コミュニティ)に対する考え方も変わってきていると思うんです。病院側にも患者さんにも、良いものになればと思いますね。医師の中でも医療行為だけでは患者さんを癒せないと感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

佐藤:患者さんも医療従事者も垣根なく「どう生きていくか」を語り合う場所が増えればいいと思います。石巻は市街地から少し離れた病院での開催でしたが、今回は立地のいい仙台駅前(医療用ウィッグメーカー店舗内)での開催と聞いて、とても嬉しかった。患者さんも立ち寄りやすく、これから医療従事者企業が加わり、さらに多くの方に参加して欲しいですね。

座談4

あなたも参加してみませんか?
▼「がん哲学外来 メディカルカフェ」各地の開催はこちら
http://www.gantetsugaku.org/clinic.php

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