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親×子。大切な人が、がんになったとき家族はどう寄り添う?
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もしも家族が「がん」になったとき、どんな言葉をかければいい?何をしてあげればいい?支える側と支えられる側、それぞれ感じることは違います。
お互いの状況を尊重しながら家族の「ちょうどいい距離」を見つけた親子に、親の立場、そして娘の立場から感じたことについて、お聞きしました。 
(取材時2016.07)

【親】 優子さん(54)会社員
2014年12月、乳がん罹患。娘・まりこさんの結婚式の5日前にがんの告知を受ける。術前抗がん剤後、2015年6月に手術。現在は経過観察中。

【子】 まりこさん(30)会社員 
2014年12月、自身の結婚式直後に母親・優子さんの罹患を知る。優子さんを元気づけようと、手術当日に妊娠報告のサプライズ。

親子の談笑

病気が分かったキッカケは?

【親】
ちょうど娘の結婚式準備でバタバタしている時でした。毎年受けている健康診断の時期に式が重なっていたので、「忙しくなる前に」と早めに受けたら、そこで見つかりました。

告知直後のこと、覚えていますか?

【親】
告知後2週間は落ち込んで、食べられなくて痩せました。告知から5日後に娘の結婚式があったんですけど、伝えずに当日を迎えました。黒留め袖を着るときに着付けの人から「細いですね~羨ましい!」って言われて。本人は悪気はないんですけど「やっぱり病気だからな…」なんて落ち込んだり。普段はあんまり落ち込まない性格だから、心まで病気になっちゃったのかと思って、担当医に相談したんです。そうしたら、「告知直後はそうだけど、大抵の人はその時期を過ぎると、また頑張ろうって思えるんだよ」って言われて。これが普通なんだ、大丈夫なんだって思えて、そのあと家族に話しました。

紅葉している葉

家族に伝えたタイミングは?その時感じたことは?

【親】
病気が分かって、伝えないまま娘の結婚式を迎えたんです。そのまま娘夫妻は新婚旅行だったので、旅行から帰ってくるのを待って、そこで言いました。私は伝えることができて、大仕事が終わった気持ちでホッとしたんですけど、聞いた方はそこからがはじまりですよね。

【子】
「女性の12人に1人がなる可能性があって、初期に見つかればかなりの確率で助かる」と聞いていても、やっぱり家族ががんになったということは、すごいショックでした。自分で受け止めるまで時間がかかりましたね。いまの時代ネットに何でも書いてあるから、いつでも調べられるんですけど、書いてあることを見るのが怖くて、なかなか調べる勇気が出なかったのを覚えています。
母が落ち込んでいた時期に、自分は結婚式を挙げて新婚旅行にも行って楽しんで…伝えるのを待っててくれたんだなぁって思うと、本当に感謝しかないです。隠し事のない家族だっただけに、私にきっと言いたかっただろうなと思うと、切なかったです。

スマホを操作

治療中、家族にしてほしかったことは?

【親】
私の場合は気をつかわれたり、すごく心配されるより、とりあえず話を聞いて欲しかった。治療が始まってから一番辛かったのは脱毛。フラダンスをやっているので長い髪をショートにして準備しました。一番抜けてた時期に「掃除機かけて」って主人にお願いしたんです。でも抜けてる髪を見て、うろたえちゃうんですよね。そのフォローが疲れました(笑)。
脱毛中は家族にも見られたくないっていう人もいると思うんですけど、私は一緒に片付けて欲しかった。動揺したりびっくりするのも当然だと思うけど「普通のこと」として受けとめて欲しかった。その点でいうと娘は落ち着いてましたね。

【子】
普段とあまり変わらなかったですね。病気になったからといって、母が今までと違う関係は求めてないだろうなって感じたんです。不安な気持ちを話したいっていうのはあるだろうから、そういう時間がとれればいいなって思いました。物理的な面よりも精神的な面でサポートしてあげたいなと。

親子のツーショット

治療中、ちょっと嬉しかったことは?

久しぶりの外出でウィッグをつけたら娘に「全然わかんない!かつら自然だね!」って言われたことかな(笑)。
それともうひとつ、手術の当日に「子供ができたから産休に入る」って言われて。私は自分のことでいっぱいいっぱいなのに、お産で帰ってくるって聞いて「勘弁してよ~!」って感じでした。手術が終わって退院したら、娘はつわりがはじまるし、私は放射線治療がはじまるし、夏で暑いし…もう大変。いま思えば荒療治ですよ。出産を控えた娘にはちゃんとご飯食べて欲しいし、寝込む暇なかったですね。いま孫が産まれて3ヶ月経ちますけど、やっと落ち着いてかわいいと思えます(笑)。

いまの家族関係は、どんな感じですか?

【子】
一つずつ思い出して振り返って気持ちを整理しています。
母の病気、治療、結婚式、出産…いろんなことが重なって、ここ1年すごく忙しくて濃密な時間でした。いまは私が産休中ということもあって、一緒にいる時間が増えました。「あの時、ああだったね」って治療中のことを少しずつ話してます。お互い気づかなかったことも多かったんだと気づかされます。思い出して話すことで消化している感じがします。

【親】
良くも悪くも家族の距離が近すぎる時があるから娘夫婦の生活にあんまり干渉しないように気をつけています(笑)。心は配るけれども…尊重しながら。子育ての方法も自分が娘を育てた頃とは違いますしね。

孫を抱く母

【子】
自分がこのタイミングで結婚・出産して、親のありがたみをすごく感じます。自分が人の親になって初めてわかったことがたくさんありました。親はずっといて当たり前だと思っていましたが、そうじゃないんだって、病気が教えてくれました。これからも一緒に過ごせる時間を大切にしていきたいですね。

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